0002_歌詞分析;美波さん「ライラック」

美波さん「ライラック」歌詞分析

紫合ユウ(@yuda_y0u)

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歌詞分析するにあたって、まずこちらをお読みください。


[表記]
気持ちの表現……aⁿ
具体例……bⁿ
[装飾造語]……cⁿ
気持ちをワンフレーズで表した部分……dⁿ
「キャッチコピー」……eⁿ
最後の〆……fⁿ
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[1A]

(1A-1)

いつかの声が今僕の心を窮屈にしてい……(a1)
ああだったんでしょ こうだったんでしょ……(b1)
[身勝手解釈receiver] ……(c1)

※a1=b1=c1
 三行とも同じことについて述べている。
 心を窮屈にする(a1)=ああだったんでしょetc.(b1)=身勝手解釈receiver(c1)
 気持ち(a1)、具体例(b1)、装飾造語(c1)という流れ。
・a1
 また「いつかの声」という曖昧な表現で色々なことを想像・連想させ、
 「心を窮屈に……」という気持ちの表現をすぐ次に持ってくることで
 歌詞で言いたいことを確定する。
 最初の一行(a1)でその後の歌詞が聴かれるかが決定するのでここでは失敗できない。
・b1
 「ああだったんでしょ……」というa1の「心が窮屈」な具体例を挙げる。
 よくありがちな具体例でないと広い範囲のターゲットに届かなくなるので注意。
・c1
 a1とb1を一言でまとめる造語。
 フレーズの切れ目なのでここがダサいと終了する。
 身勝手解釈という単語で明快に意味がわかり、
 receiverで英語のかっこよさ+後々読んだときに意味(身勝手解釈の受信機)がわかるようにする。
 

(1A-2)
変わらなきゃ飽きましたって 変われば変わりましたよねって……(b2)
一体なんだい?それなんだい?……(a2)
[矛と盾]は無くならないようでして……(c2)

※b2=a2=c2
 これも同じことについて述べている。流れはaとbが逆転するが、基本的にa1~c1の流れを汲んでいる。
 具体例(b2)、気持ち(a2)、装飾造語(c2)という流れ。
 [a1:c1]と[b2:c2]で巨視的な意味での押韻関係がある。
・A1-1, 2について
 押韻関係があると言った件について。
 A1-1とA1-2の二行目、
 b1の「ああだったんでしょ……」に対する答えがa2「一体なんだい……」となっており、
 ここが一つの意味的な押韻
 三行目も「身勝手解釈receiver」と「矛と盾」が両者とも装飾造語cⁿであり押韻関係にある。
 またA1-1とA1-2の二行目以降でひとつの押韻とみなすこともできる。
 
[1B]
(1B-1)

幸せはピンぼけする[不良品アイシャッター]……(a3+c3)
苦しいこと[繊細に映る高画質レンズ]……(a4+c4)

※a3+c3→a4+c4
 Aメロと逆でaⁿ同士で、またaⁿ+cⁿ同士で対照的なことを述べている。
 気持ちaⁿと装飾造語cⁿの距離が近くなりパンチが増している効果もある。
 気持ち(aⁿ)+造語(cⁿ)を二回繰り返すことで意味的な押韻関係にある。
 また意味的な押韻の距離は[1A]の6行から2行に縮まり、より緊迫した雰囲気を出している。

 

(1B-2)

精一杯やってんだ 別に君の為じゃない……(a5)
ねえそうだろ?
性に合わないことして生きれるほど余裕ない……(d1)

※a5+d5, aⁿ⁻¹+bⁿ+cⁿ→d5
 a5のはじめにおいてd5に向かうための「精一杯」という単語が出てくる。
 また音楽自体はここで落ちているので
 AメロからBメロまでの気持ちをまとめた文がd5となる。
 「性に合わないことして生きれるほど余裕がない」だから……? 続きはサビで。

 

[1C]
人生そうハイに……(e1¹)
「人生そう前に」……(e1²)
「人生聡明に」生きたいのは山々だが……(e1³+a9)
割と根拠も証明もないような現状世界くらいが丁度よくて……(a8)
「人生そうラフに」……(e1⁴)
「人生そうタフに」……(e1⁵)
「人生そうゲーム」みたいに単純なものでいいだろ……(e1⁶+a10)
A・Bボタンで賭けて決めたい未来もあるんだ……(f1)
※(e1ⁿ×3+a8)+(e1ⁿ⁺³×3+a9)+f1
 e1ⁿを三回繰り返してaⁿを付け加えたものが2回繰り返され、最後にf1が付け加えられる構造。
 [1C]全体で「e1ⁿ×3+aⁿ」が二回繰り返されていて、ここが押韻関係にある。
 また、[1B]の最後の行のd5と[1C]のe5で押韻関係にある。
 また、1Cと4Cはほとんど同じことが書かれているため、
 1Cの時点で全体の印象を決定しなくてはいけない。

 

[2A]
ヒーローのプライベートはきっとしょうもないと思うんだ
割とネガティヴだったり 普通の人間してるさ……(b6)
※b6
 普通の人間に対する歌だというそれとない示唆になっていると思われる。
 反復的でないため[1A]のような技法は見られない。
 「くどく」ならないためだと思われる。
 
[2B]
他人の声に惑わされるほど余裕ない……(d2)
 ※d5と同じ機能。2Aまでのまとめ。
 
[2C]
「もういっそ不乱に」……(e2¹)
「もういっそ不安定に」……(e2²)
「もうきっと説明書」どおりは綺麗過ぎてしまうから……(e2³+a11)
汚せ 壊せ 決められたつまらない固定概念なんて捨てろ……(a12)
「もう実際」どうにでもなれ……(e2⁴)
押し殺した声でやりたくないことに……(b7)
軽々しく頷くのはやめろ 上げろ 顔を 上げろ……(f2)
※2C
 1Cとの構造的押韻関係にあるので、2Cは1Cの変化形になっている。
 1Cの最後f1が単なる自分の主張なのに対して、
 f2では相手への命令形となりより強い主張となっている。
 
 b7の箇所は1Cではaⁿであり、bⁿ系統に変化している。
 これはf2で気持ちの表明をすることから、
 一行前に「落とし」を入れf2を強調する目的だと思われる。
 
[3D]
疲れてしまったんだ……(a13)
人のエゴで造られた虚にだけはなりたくはなくて……(a14)
時間はまだあると いざ一人目の前にした後悔……(a15)
心電図はグシャグシャのまんま思うことはただ一つ……(a16)
憂憂憂憂憂憂憂……(c5)
※3D
 aⁿ系列からcⁿへと移ろうのはAメロと同じ構造。
 c5は「うれい」の「れ」を巻き舌にすることで印象的にしている。
 Aメロの代わりに入るAメロと違う歌詞部分と解釈できる。
 この後、Bメロの代わりに間奏が入り、それがBメロの役割をする。
 
※4Cは1Cとほとんど同じため省略。微妙に変えるところにパンチを感じる。
 1Cと4Cが同じということは、1Cの時点で全体の印象を決定しなくてはいけない。
 これは逆に言うとここで全体の印象を崩してはいけないことになる。
 したがって、変化は些細なものか、あるいは完全に1Cのリピートとして4Cを導入することが推奨される。
 
[4C]
省略

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・抽象歌詞構造

[表記]
気持ちの表現……aⁿ
具体例……bⁿ
[装飾造語]……cⁿ
気持ちをワンフレーズで表した部分……dⁿ
「キャッチコピー」……eⁿ
最後の〆……fⁿ
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[1A]
 a1, b1, c1,
 b2, a2, c2.
[1B]
 a3+c3
 a4+c4.
 a5, d1.
[1C]
 e1¹, e1², e1³+a9
 e1⁴, e1⁵, e1⁶+a10
 f1.
[2A]
 b6.
[2B]
 d2.
[2C]
 e2¹, e2², e2³+a11
 a12, e1⁴, b7, f2.
[3D]
 a13, a14, a15, a16, c5
[4C]
 e3¹, e3², e3³+a9
 e3⁴, e3⁵, e3⁶+a10
 f3.
 
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